九州旅客鉄道株式会社
findの導入が広がって行くことで、お客さまへより良いサービスを提供できる
九州旅客鉄道株式会社 鉄道事業本部 営業企画課 坪山様
「安全とサービスを基盤として九州、日本、そしてアジアの元気をつくる企業グループ」を“あるべき姿”として捉え、九州内における鉄道・バスなどの安定したモビリティサービスを中心に、駅ビルやホテル、建設、飲食など人々の暮らしに深く根付いた事業を展開する九州旅客鉄道株式会社(以下、「JR九州」)。
鉄道事業では博多などのターミナル駅をはじめ595駅(BRT駅含む)と多くの駅を抱え、通勤客や観光客など多くの利用客を擁しています。安心・安全な運行や、便利で快適な駅・車両などの環境づくりなど、利用客にとって、価値のある顧客体験を提供すべくサービスの向上に取り組んでいます。
今回、サービス向上の取り組みのひとつであるお忘れ物の対応について、新たなツール「落とし物クラウドfind」を導入した経緯とその成果について、九州旅客鉄道株式会社 鉄道事業本部 営業企画課 坪山様に話を聞きました。
目次
・find 導入後3カ月で、お忘れ物のマッチング率が約4倍に!対応時間も約6割削減されるなど、業務効率化も実現
・LINEで簡単に問い合わせできる点と、グループ全体で横展開を期待できる点が導入の決め手に・・・。現場を大切にしたサポート体制で、駅係員からの信頼も厚く!
・駅だけでなく、バスや商業施設、ホテルなどJR九州グループ全体で導入を目指す!
お客さまにとって大切なお忘れ物。JR九州全体で1日に約500件以上のお忘れ物が発生するそうだが、そのお忘れ物に関する電話応対において課題が多かったという。
「お忘れ物の対応は、各駅の窓口に加え、お忘れ物案内ダイヤル(9:00~17:30)で電話にて受け付けていました。しかし、1日に約1,000件を超える多くの入電があり、それを7名前後の社員で対応していたため、応答率は2~3 割前後と低く、お客さまから多数のご意見を頂いていました。
また、拾得物のデータを登録する遺失物管理システムは、20年ほど前から使用している古いシステムで、紙ベースでの登録やチェックが基本でした。お忘れ物を検索する際も、テキストベースでしか確認ができないため、ヒアリングして検索するだけでも6分前後かかり、実際に見つかった場合はお引取りのご案内をするとさらに数分かかるため、1件のお忘れ物の対応に約8~10分ほどかかり、スピーディーな対応ができない状態でした。
実際に、お忘れ物についての電話を10件取っても、そのうち1件がマッチングしたらいい方で、マッチング率も低くかったです。」
そのような課題を抱えるなか、出会ったのが「落とし物クラウドfind」だ。findは、駅係員などが拾得物をスマートフォンなどで登録する「find scan」、拾得物情報を一元管理するデータベース「find search」、利用客がLINE で問い合わせ可能な「find chat」を提供する、落とし物やお忘れ物にまつわる課題を解決するデータプラットフォームだ。
JR九州では、2023年の8月から導入(「find chat」は9月より提供開始)し、利用開始からわずか3カ月ほどだが大きな効果が出ているという。
「find導入の目的は、先に述べたお忘れ物に対するお客さまへのスピーディーな対応と、電話応答率向上といった2つの課題が同時に解決できると判断し導入に至りました。
実際に導入してみて、大きな効果が出ています。9月からサービス開始した「find chat」により、お忘れ物に対する電話の入電数は導入前が1日あたり約1,000件だったのが、現在は約200件と80%も削減でき、あわせて電話応答率も約8割と向上しています。
また、電話でのマッチング率は利用開始前が約8%だったのに対し、「find chat」では約30%で4倍となりました。
お忘れ物データベースの「find search」では、お忘れ物を写真で確認しつつ、フリーワード検索できることでお客さまへ素早く返答することができます。さらに、「find chat」ではお客さまがお忘れ物の写真を添付していただける場合があるため、その際はAI画像診断により該当するお忘れ物が上位に上がってくるなど、更に素早い対応が可能です。これにより、お忘れ物1件にかかる対応時間も約3分となり、スピーディーかつ効率的な対応ができていると感じています。
また、「find chat」の導入により、お客さまが気軽にLINEでお尋ねいただけるようになったため、駅窓口に直接お忘れ物のお問合せをされるお客さまは格段に減りました。その分、駅本来の業務であるきっぷの販売や改札業務などに注力する時間に繋がることを期待しています。」

大きな効果が見られるfind だが、実績もまだ少ないスタートアップ企業のサービスのため、導入に際し不安はなかったのか。
「正直、最初は大丈夫かなという声もありました。ほかの鉄道会社が利用しているシステムに交換したほうが安心なのではないかなどといった意見も出ましたし、遺失物のシステムを刷新するだけなら、他の企業からも提案は受けていました。
そのような中で、findに決めた理由は、1つ目はLINEでお問い合わせができるという点です。LINEは現在インフラのように使用されており、多くのお客さまが簡単に利用できるため、お問合せツールとして最適だと考えていました。2つ目は、鉄道事業だけでなくバスや商業施設などグループ全体で展開することができると思った点です。様々な場所でのお忘れ物情報が一元化できれば、業務の省力化につながるとともに、お客さまにとってもお問い合わせの手間が削減され、双方にとってメリットがあると感じました。また、今までの業務の仕方を見直すことにより、バックヤードの業務も含めて業務効率化が期待でき、その分、駅本来の業務であるきっぷの販売や改札業務などに注力できると考えました。」

心配する声も少なからずある中で、導入時のサポート体制や、導入後の使い勝手など、実際に利用する駅係員の反応はどんなものだったのだろうか。導入時に期待していた、バックヤード業務の効率化も実現できたという。
「駅係員が拾得物を登録する「find scan」は、とても扱いやすく直感的に操作ができます。フリマアプリに出品し、欲しいものを検索する感覚で、お忘れ物の登録や検索を行うことができます。各駅に貸与しているスマートフォンで利用できるため、新たなデバイスを用意する必要もありません。
さらにバックヤード業務も効率化できています。お忘れ物は、拾得のあった駅で保管後、主要な駅に移送し、駅での保管期間が過ぎたものは警察に移管する業務が発生します。今までは、拾得日やお忘れ物の詳細情報をテキストベースでシステムに入力し、そのデータを印刷してお忘れ物と一緒に保管していました。一方で、findが提供するf-tag(エフタグ)はQR コードにデータを集約することで、そのQRコードを読み込めばお忘れ物の詳細やステータスがすぐに確認することができます。さらに、このQRコードを業務用のスマートフォンで読み取ることで、駅から駅、駅から警察署への検品を高速で実施できるようになりました。もちろんシステムが変われば運用や業務の仕方も変更となるため、導入当初は混乱がありました。ただ、findのメンバーには導入前も導入後も、手厚くサポートしていただき、現場からの意見も真摯に汲み取って、不足している機能等についても素早く対応してくれました。時にはfindのメンバーが泊まり込みで対応してくださるなど、現地現物を大切にしてくださり、駅係員からの信頼も厚いと感じています。」

導入から3カ月ほどで、大きな効果が実感できているfind。今後の活用方法や、findに期待することは・・・。
「駅や列車をご利用されている中で、どうしてもお忘れ物は発生してしまいます。お忘れ物をされたお客さまの気持ちを考えると、とても不安だと思います。私たちは公共交通機関として適切にお忘れ物を管理し、可能な限りお客さまにスピーディーに情報をお伝えすることで安心して鉄道をご利用いただけるよう努めなければならないと思いますし、findがそんな思いを後押ししてくれていると感じています。
また、find導入は、点よりも面での導入効果が大きいと考えています。当社も駅を中心にまちづくりを行っており、例えばバスや駅ビル、ホテルなど駅や列車以外のお忘れ物情報も一元化できれば、お客さまはfindひとつでお忘れ物を探せますし、係員側も不要な問合せが減少して効率的な業務を行うことが可能になり、双方にメリットが見込めます。
今後は、JR九州グループ全体でのfind導入を目指すために、まずはしっかりと鉄道部門で実績を積みあげたいと思います。また、当社以外の企業などにfindの導入が広がって行くことで、お客さまへより良いサービスを提供できるとともに、お忘れ物に関する社会課題の解決にも繋がることを期待しています。」