Case

感動体験と現場の強い要望で導入 遺失物の受付登録5割減 警納4割減 外国語対応も
福岡国際空港株式会社
福岡国際空港株式会社 空港運用本部 保安防災部 小島 宏文様(左前)、渡辺 裕之様(左後)、四宮 亜加根様(右前)岸 凌誠様(右後)
福岡国際空港株式会社は、マスタープランに「比類なき東・東南アジアの航空ネットワークを有する、東アジアのトップクラスの国際空港」を掲げ、利用者2800万人(2025年暦年)を誇る東アジアトップクラスの国際空港です。
今回、遺失物に係る業務負担軽減を図り、より良いサービスを提供することを目的に「落とし物クラウドfind」を導入いただきました。
findの導入の経緯やその成果について、空港のセキュリティと防災を担当し、警備の一環として遺失物対応も管理されている、福岡国際空港株式会社 空港運用本部 保安防災部 小島 宏文様、渡辺 裕之様、四宮 亜加根様に話を聞きました。
目次
find導入前の課題を教えてください
小島様:コロナ禍以降、福岡空港の航空需要は国際線・国内線ともに増えており、それに比例して遺失物の件数も増加しています。2025年時点で月に3,000件近くの遺失物を取り扱っており、今後もお客様の増加が見込まれる中、現場の負担が非常に大きくなっていたのが一番の課題であり、危機感でした。
渡辺様:遺失物対応は、国内線・国際線でそれぞれ保安防災センター(お忘れ物預かり所)にて警備会社に委託しています。
従前の遺失物の管理は、管理台帳としてノーコードの業務アプリを使い、現物に紐づける荷札は複写式の紙伝票(LF伝票)を使用していました。台帳と伝票に遺失物の特徴を記入するのですが、人によって捉え方にばらつきがあります。例えば、マフラーであればブランドや生地、色などです。お客様からお問合せがあった際に、登録された特徴とお客様の認識がずれていると、照合するのに時間がかかってしまいます。そのため担当者は、伝票記入時にインターネットで製品情報を調べるなどもしており、受付から登録完了まで1件あたり10分はかかっていましたね。
遺失物の取扱いが月3,000件あるので約500時間かかる業務です。
小島様:日中の窓口業務が立て込んでいると、管理台帳へのデータ登録が後回しになりがちで、窓口が閉まった夜に残業してまとめて入力することもありました。リアルタイムでの情報共有ができず、お客様のお問合せにすぐ対応できていない課題もありました。
加えて、お問合せの電話が1日に平均80件、Webフォームからのお問合せも10件ほどありました。これら一つひとつに対応する時間も無視できません。
国内線窓口は1名体制になる時間帯もあり、お客様が直接窓口に来られた際の対応と、お問合せの電話対応が重なると、どうしてもお客様をお待たせしてしまっていました。
国際線窓口では、言葉の壁があり翻訳アプリなどを活用していましたが、1件1件のコミュニケーションに時間がかかり、業務全体の負荷を増大させていました。
また、週に一度、遺失物を警察署へ移管する作業も大変でした。国内線・国際線それぞれで、紙の伝票と実物を一つひとつ突き合わせ、リストを作成して…という作業に、空港全体で合計10時間近くかかっていたのです。
遺失物対応は重要ですが、警備会社には本来の保安・警備業務に注力してもらいたいという気持ちもありました。

findを選んだ理由を教えてください
渡辺様:まずfindを知ったきっかけは私の実体験です。
息子がJR九州管内で部活の道具一式を忘れてしまい、findを利用したのです。そのときに無事忘れ物を見つけることができ、「とても便利だ」と感動したんです。
四宮様:実際にfindの担当者からのプレゼンを受けたところ、仕組みが非常に明確で、お客様も現場も負担が減ると思いました。
何より大きかったのは、現場からの後押しです。遺失物対応を担当している警備会社からも「ぜひ導入してほしい」「すぐにでも欲しい」という声が、私たちのところに直接届くほどだったのです。
小島様:当初は翌年度の予算での導入を考えていたのですが、現場の熱意に後押しされ、すぐに経営層への説明に動きました。
経営層には、今後、福岡空港のお客様がさらに増加する中で、マンパワーだけで対応し続けるには限界があること。スタッフを1名増員した場合のコストと比較してもシステムを導入する方が長期的には合理的であること。そういったロジックをきちんと説明し、理解を得ることができました。findは西日本鉄道やJR博多シティでの導入実績があり、当社内でもサービスを認知しているものがいたので「当社でも、いよいよ導入するんだね」と非常に前向きに話を聞いてもらえました。
経営層の理解と、現場からの強い要望。この両輪が揃ったことが、スピーディーな意思決定につながったと思います。
findの導入にあたって苦労した点はありますか?
小島様:findの導入検討から運用開始までにかかった期間は2カ月で、他社さんと比較してスピーディーだったようです。導入するなら繁忙期の年末には間に合わせたいと考え、スケジュールを組みました。
時間をかけてもかけなくても効果が同じであれば、早めにやった方がいいというポリシーなんです。業務に余裕があるタイミングを見計らっても一年中いつでも忙しいですし。
短期間でfindを導入できたポイントは、導入開始までに何をしないといけないか、タスクの管理ツールを用いて工程管理を上手くマネジメントしてもらった点です。
現場のオペレーションも、従前とほとんど変更点はなかったんです。
find導入の成果を教えてください
小島様:find導入からまだ2ヶ月ですが、すでに大きな効果が出ています。課題だった業務時間が劇的に短縮されています。
受付・登録時間:1件あたり約10分 → 約5分(50%削減)
電話問合せ件数:1日平均80件 → 55件(約31%削減)
Web問合せ件数:1日平均10件 → ほぼ0件
警察への移管作業:空港全体で週に約10時間 → 約6時間(40%削減)
登録作業は、写真を撮って項目を選ぶだけなので、誰がやっても標準化できるようになり、属人性が解消されました。登録がリアルタイムで行えるので、窓口に遺失物を溜めておくことがなくなり、現場がすっきりしたと聞いています。
findのチャットは4カ国語に対応※しており、特に国際線では、海外のお客様にチャットでのお問合せをご案内することで、言語の壁を気にすることなくスムーズに対応できるようになり、「非常に助かっている」という声が上がっています。
これにより、現場スタッフの心理的負担が大きく軽減されました。
また、これまで遺失物窓口が混雑した際にヘルプに入っていた他の警備スタッフが、本来の監視業務に集中できる時間が増えました。これも大きな効果です。
そして、社内にも良い影響が広がっています。今回の成功体験は、DX推進の分かりやすい「成功事例」として社内で認識されるようになりました。「現場の課題を解決するために新しい技術を導入すれば、これだけの効果が出る」ということを示せたので、会社全体でDXを推進していこうという機運が高まっています。委託先である警備会社さんとの関係性も、より良好になったと感じています。
※日本語、英語、中国語(簡体)、韓国語

今後の展望を教えてください
小島様:今後の横断検索の実現に期待しています。
一つは、「地域での横断検索」です。福岡空港には市営地下鉄が乗り入れており、天神で西鉄、博多でJRと接続しています。これらの交通事業者がfindで繋がれば、お客様は「どこで落としたか分からない」という場合でも、一度の検索で探し物を見つけられるようになります。地域全体でシームレスな遺失物対応ができれば、お客様の利便性は格段に向上するはずです。
もう一つは、「航空業界での横断検索」です。羽田や関西、北海道など、すでにfindを導入している空港は複数あります。出発地の空港で忘れたのか、機内か、それとも到着地の空港か。空港間で連携し、垣根を越えて検索できるようになれば、お客様に更なる安心感を提供できると考えています。
findの導入をきっかけに、様々な垣根を越えた連携を実現し、すべてのお客様がより安心・快適に旅を楽しめる環境を福岡から作っていきたいですね。
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